ミナ ペルホネンとのコラボレーションスープと器ができるまで Vol.2

スープで紡ぐ、ミナ ペルホネンの世界

「霧の湖のスープ」「白い森のスープ」そして「大地の星のスープ」。それぞれの名前には、遠い国の情景が浮かびあがる響きがありました。どのようにスープが完成したのでしょうか。
第二回目はミナ ペルホネンの皆川明さんと、スープストックトーキョーのシェフ・須山裕之のインタビューをお届けします。

――スープはどのように開発されましたか?


須山:皆川さんとお話をしていく中で、スープストックトーキョーで提供している「アートスープ」の開発に近い感覚で作っていきました。アートスープには、これまで「モネのポロ葱のスープ」や「ゴッホの玉葱のスープ」、私が開発を務めた「フェルメールの“牛乳を注ぐ女”のスープ」などが登場しています。

フェルメールの“牛乳を注ぐ女”のスープ

――アートスープはどのようなアプローチが特徴ですか?


須山:アート作品とその背景にあるストーリーや、当時の食文化や人々の営みから着想を得て作っています。また、洋風なスープに和の要素を取り入れたり、食材の組み合わせなども含めて独自の開発アプローチでレシピが生まれています。今回は、ミナ ペルホネンの世界観や皆川さんのやわらかい雰囲気に触れ、そこにスープストックトーキョーらしい表現を加えられえるといいなと思いながらスープを作りました。

シェフ・須山裕之


皆川:辛いスープじゃなくてホッとしました(笑)。


須山:実は3年前、私がスープストックトーキョーに入社してしばらく経った頃、スープストックトーキョー会長の遠山と一緒に長野にあるミナ ペルホネンさんの保養所にお伺いする機会があり、それが皆川さんとの初対面でした。

ミナ ペルホネンの保養所


皆川:「いい腕のシェフが入ったんだよ!」と遠山さんが紹介してくださって。その方が時を経て、一緒にメニュー開発をしてくださってうれしく思います。

――ご縁が繋がったのですね。特に“皆川さんらしさ”が表現されたスープから聞いてみましょう。


須山:サーモンスープ(霧の湖のスープ)は、フィンランドの定番の味でありながら皆川さんのやわらかい感じを表現できないかと考えました。「霧の湖のスープ」では生クリームをあえて控えめにして、煮干しのだしをとり、さらに3年熟成のみりんで独特の魚臭さをマスキングしています。

皆川:いいですね、おだしのアイディア。最後に柚子をトッピングするのはどうでしょう?


須山:爽やかな香りが加わるので、いいと思います!ぜひ取り入れたいと思います。(イベント期間中は、焼いたサーモンの切り身、柚子、ディルや黒こしょうをトッピングしてご提供します。)


皆川:脂肪分が控えめで、誰が召し上がってもうれしい味わいです。サーモンスープは日本の味噌汁のように家庭の味があるのですが、フィンランドの方にも食べてほしいと思いました。


霧の湖のスープ

――「白い森のスープ(チキンスープ)」はいかがですか?


須山:皆川さんから日常的に作って、朝に召し上がるというお話を伺っていました。


皆川:何倍も美味しくなっていました。


須山:ありがとうございます。チキンスープというと洋風スープですが、和の要素は取り入れたいなと思っていました。でも、安易に醤油ではないなと。一番レシピに悩んだスープです。

白い森のスープ

――スープストックトーキョーらしい工夫があれば教えてください。


須山:ヒントにしたのは「煎り酒」です。煎り酒は醤油が普及する以前に考案されたもので、日本酒に梅干などを入れて煮詰めた調味料です。繊細な食材を引き立ててくれます。 日本酒とかつおと昆布で煮詰めて、さらにトマトをすりつぶして一晩かけて濾したトマトコンソメを加えました。トマトを梅干しの酸味に見立て、スープ全体の味を調えています。

――素朴な味わいのなかに、緻密なこだわりが詰まっていますね。


須山:最後まで悩んだのですが、少しだけ醤油の香りがほしいなと気づいて、石川県のひしお醤油を加えました。もろみの香りが特徴のひしお醤油は、ベースのだしを活かしながら芳醇な香りがふわりと立ちのぼります。

皆川:一つ一つの食材にきちんと手間をかけられていることが伝わります。私もよく季節の野菜を組み合わせて作りますが、今回はトッピングのかぶや菜の花がいいですね。もち麦も入っていて、食事として完成されています。


――見た目はシンプルなスープですが、奥が深い。まさに「白い森」の名前がぴったりですね。


須山:最初の試食会で皆川さんから「白い森」という言葉と、イメージをいただいて。朝食べるシーンにもあう、ホッとするスープになったと思います。


――「大地の星のスープ(えんどう豆のスープ)」はどのように生まれたのでしょうか。


須山:フィンランドのスープについて調べていたときに「木曜日のスープ」のことを知りました。カトリック教時代の金曜日は断食になるので、木曜日は栄養価の高い豆と豚肉のスープを食べる習慣があったそうです。


皆川:今でもよくフィンランドの友人が家庭料理として出してくれるのですが、緑のお豆でした。黄色い豆のスープはとても新鮮ですね。


大地の星のスープ

須山:黄色いえんどう豆はスープストックトーキョーのメニュー開発がご縁で出会った食材です。私たちらしい解釈を加えて「木曜日のスープ」を作ってみたいと思い、昆布だしを使ったベジタリアンスープに仕立てました。


皆川:甘くなりがちなお豆のスープですが、紫キャベツのサワー感やマッシュルームの鼻に抜ける香りなど、違う要素の味覚があり、その味のレイヤーに感動しました。


須山:「Dear Friends, Department」の会場でご提供するスープには、トッピングを添えてご提供しますが、紫キャベツと赤玉葱にレモン汁、粒マスタードを加えマリネにしました。仕上げにスライスマッシュルームを添えて、アクセントにしています。

――スープの名前も素敵です。どのように名付けられたのでしょうか。


皆川:ミナ ペルホネンのテキスタイルにも全て名前がついていますが、スープの場合は食材、味、見たときの印象から言葉のイメージが湧きました。言葉と一緒に一つ一つのスープを味わうことで、浮かんでくる風景や景色がつくれたらいいなと思います。


――あたたかな湯気の向こうに、遠い北欧の景色が浮かんできそうですね。


Vol.3ではオリジナルデザインのスープカップと、皆川さんの食との向き合い方についてお届けします。


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