ミナ ペルホネンとのコラボレーションスープと器ができるまで Vol.3

オリジナルのスープカップと、皆川さんの食との向き合い方

Vol.3はオリジナルスープカップのデザインのお話です。2021年3月24〜29日の期間、ミナ ペルホネンの限定イベント「Dear Friends, Department」で提供されるスープにあわせて、カップもデザインしていただきました。ご自宅でもミナ ペルホネンの世界を楽しんでいただけるよう、オンラインショップ・雑貨販売店舗にも登場します。最後は皆川さんにとっての料理そして食べることについて伺いながら、記憶をつくる仕事のヒントを手繰り寄せます。

――スープカップはどのようにデザインされましたか。

皆川:今までに作られたスープカップを見せていただくと、比較的ワンポイントのデザインが多かったです。全面にモチーフをはめ込んでみたら新しい表現になるかな、という発想からスタートしました。鳥のシェイプは色々な姿をしているので、うまくつながり合うと良さそうだなと思いながら描きました。パズルのようにモチーフを組み合わせています。

――カップ型はスープストックトーキョー共通のもので、サイズや形に制約があるなかで素敵なデザインに仕上げてくださいました。

皆川:僕がこれまで描いた図案にはないものです。ラウンドしているものはぐるっと一周使えて、模様を変えて楽しんでもらうイメージが浮かんでいました。二人で向き合って使う時も、それぞれ見えている柄が違うのも楽しいなと。いろんな世代の方が使用されると思うので、お子さまが見ても楽しめると思いますし、ご家族で使っていただいたり、世代問わず楽しんでいただけると嬉しいですね。

――ご自宅ではどのように楽しんでいただきたいですか。

皆川:この形のカップは、スープはもちろんのこと、コーヒーをいれてもいいし、デザートも盛れますし、多様な用途を持つカップだと思います。スープをきっかけに知ったこのカップが、ご家庭や暮らしの中でいろんな使い方をしていただけたらいいなと思います。最後は植物を植えたりもできそうですね(笑)。

――皆川さんもよく料理をされると聞いています。皆川さんはどのように料理と向き合っていますか。また、服作りと料理に共通点はあるのでしょうか。

皆川:すごく似ていますよ。毎日、洋服をつくるみたいに一食を作りたいと思っています。材料は何にするか、それを生産した人は誰で、どんなふうに作られているのかを知って、きちんと選ぶことがおいしくなるための最初の一歩。
そして、完成した洋服をお店に並べるときのコーディネートと、料理をどんなお皿にどう盛り付けるのかも似ていますね。洋服だと1年ほどかけて最終的に製品になりますが、料理は洋服作りの縮図なのかもしれません。料理で一つ一つ同じことを毎回しているのだと思います。

――お洋服の他にもインテリアファブリックや家具、食器などの様々なものづくりに携わる皆川さんにとって、食べることをどのように捉えていますか?

皆川:食の記憶って、すごく強いですよね。たった数分で食べ終わった料理が一生忘れられないなんて、すごいことです。「あのとき大変だったな」「でもその後のラーメンは最高だった」というふうに、おいしさとは別に、人生の喜びも辛いことも含めて喜怒哀楽と結びつきがあります。

――記憶について、著書『Hello!! Work 僕らの仕事のつくりかた、つづきかた。』でも語られていましたね。


“人が一生をかけて心に持ち続けられる資産は「記憶」しかないというのが答えのひとつ。おいしいものを食べたこと、好きな趣味に没頭できたこと、どこかに旅行に行ったことなどは、その人の「記憶」となって存在します。”
“少し極端に言うならば、人は「記憶」を作るために生きていると言っていいのかもしれません。(中略)それは労働についても同じです。”
引用:川島蓉子 皆川明(2020).『Hello!! Work 僕らの仕事のつくりかた、つづきかた。』 株式会社リトルモア p31,p32

皆川:よく言われるんですよ。「洋服やプロダクトのデザインの人はいいよね、ずっとデザインが残ってさ」って。聞くと「料理は食べると無くなる」「音楽は弾いたらどこか消えちゃうから」と言われますが、僕は記憶の強さはどれも一緒だと思っているんです。この世界に存在するかどうかより、体験した人の心にどのくらい留まるか。プロダクトだと「これは好きだな」「美しいな」はあるのですが、あまり大変だったことと結びつけないでしょう。

――確かに、ミナ ペルホネンのお洋服を着て、悲しい気持ちにはなれません。

皆川:ネガティブな感情だったとしても、思い出すときは苦しくないんですよね。「あんなこともあったな」と、もう乗り越えられている。だから、僕は食の記憶のほうが羨ましいぐらい。人生の中で、食べることは記憶を保存するきっかけになるので、とても大事だと思います。記憶の中で喜怒哀楽を持てるのが食。だからこそ、生きる上で身体にとっても心にとっても基本になるものだと思うんです。そういうことをレシピで作っていくというのは、面白いなと思うんですよね。

――須山さんはいかがですか?

須山:すごく誇りに思える言葉をいただけました。お話を聞きながら、僕が教わっていたシェフの言葉を思い出しました。「お客さまからお金をいただいて提供するのは体験なんだよ」と。おいしいという価値だけでなく、人の記憶に残ることでつながって、文化として残していけるのかもしれません。

皆川:今回のイベントは6日間限定(3/24~29)ですが、スープストックトーキョーのお店で思い出すかもしれないし。

須山:思い出してもらえたらうれしいです。自宅用のスープやカップが作れたことで、それもまた記憶を呼び戻すきっかけになるのかもしれませんね。

――うれしいことも、悲しいことも、自分の人生のなかで大切にしたい記憶がひとつでも増えるといいですね。私たちがご提供する食の体験が、皆さんの記憶に寄り添えるものとなればとてもうれしく思います。
お二方、ありがとうございました。

合計0
カートを見る